今回の1冊
あらすじ
入社7年目の松久奏己は、地味に目立たぬように仕事をしてきたはずだった。しかし、社長肝いりの新部署へ異動になり、変わり者でイケメンな医師、森琉吾と、チャラ系ホスト顔の薬剤師、眞田昇磨と働くことに! 異動初日から緊張の連続でいつもの困った症状が現れる――。
会社での困りごと対処法や、体調不良へのお役立ち情報も満載の、ちょっと元気になれる物語!(文庫本裏表紙より)
きっかけ&ざっくり感想
妻の本棚を眺めていて気になったので手に取りました。
私のざっくりした感想は、「考えすぎてしまう主人公に共感できるかできないかで、物語が面白いかどうかの判断が変わると思う」です。私の妻はHSP気味なので、「きっとこんなふうに考えてるんだろうな」と感じながら読んでいました。物語自体は困っている患者の悩みを解決する流れなのでとてもシンプルで読みやすいと思います。
私が確認した時点でのAmazonの評価は4.3(評価者38人)でした。
こんな人におすすめ
・心配性な人
心因性頻尿に悩む主人公の気持ちに共感できるかも。
・健康意識を高めたい人
ストレスからくる下痢、口臭、ギックリ腰など身近な病気が扱われています。
・イケメンに囲まれたい人
登場する男性2人がイケメンなようです。イケメンに囲まれた職場で働きたい女性は雰囲気を味わえるかもしれません。
面白かったポイント
・みんな違うのは当たり前。状況を改善するために変えるのは環境。
私が一番印象に残っているのが次の2点です。
①みんな違うのは当たり前。周りに見せはしないけど、それぞれ個性や悩みがある。
②状況を改善するために変えるのは環境。悩みがあるとどうしても原因を自分に探したり、自分を変えようとしがち。でも、もしかしたら、あなたの特性を活かせる環境があるかもよ。
・心配性な人は心が休まる本
我が家には心配性な妻がいます。日々、些細なことに恐れを感じています。運転中にぶつけた感触もないのに、誰か轢いているかもしれないなんてしょっちゅう言ってます。
主人公の松久奏己(まつひさ かなみ)は心配性がゆえに目立たず誰にも迷惑をかけないよう心がけて生活しています。それでも些細なこと、誰かの何気ない言動に心を乱されています。
しかし、松久はクリニック課に異動したことをきっかけに少しずつ自分が変わっていくことを感じます。
心配性の皆さんは、松久の心情描写に共感できるところが多いのではないかと思います。
・みんなそれぞれ何かを抱えている。それは見た目ではわからない。
物語の登場人物は、松久にとっては非の打ちどころがないように見える人物ばかりです。仕事もできるし、容姿も良い、きっと悩みなどないのだろうと言うふうに見えます。
しかし、何も問題や悩みを抱えていない人間などいません。ストレスを感じやすい・抱えやすい、相手の気持ちが理解しにくい、など、みんな悩みがあるのです。
それぞれが悩みを抱えているなんて当たり前のことかしれませんが、大人だからみんな見せません。自分の心情はよくわかっていますが自分も大人なのでそれを周りに見せません。辛い思いは溜め込むと増幅します。そうすると、みんなは楽しそうなのに私だけ辛いなんて思ってしまうのかもしれません。
みんな辛いさがあるのだから、お互いに理解し合えると良いのかなと読んでいて感じました。
・身近かな病気について対策を知れる
口臭、ぎっくり腰、ストレス、不安神経症などが扱われていますが、どれも社会人なら心当たりがあるのもばかりです。それぞれ、対応についても説明がされています。すぐに試せるものもあるので読んでいて気になるものがあれば試しやすいのも嬉しいです。
私はさっそく塩分タブレットと氷砂糖を買って来ました。気になる方は202〜212ページあたりをお読みください。
・変わる必要なんてない。
きっと皆さんも悩み事があるでしょう。しかし、それは物事や状況を一方向から見ているに過ぎません。
松久は頻尿ですぐトイレに行かなければならないのが悩みでしたが、物語終盤でその悩みが役立つ場面が訪れます。詳細は本を読んでいただきたいのですが、大切なのは自分の特性が生きる場所を見つけることだと感じました。
適材適所やリフレーミングという言葉をご存知でしょうか。少し前に流行った言葉です。
例えば、みんなの先頭に立ってチームを引っ張っていく能力が高い人は、チームリーダーや社長に向いているかもしれませんが、与えられた仕事が事務作業ばかりでは力を発揮できません。逆に事務作業が得意な人は、大勢を率いて統率をとるように仕事は向いていないでしょう。
例えば、いろんな場面に首を突っ込んでトラブルに巻き込まれやすかったり、トラブルを大きくしてしまう人がいます。こう聞くと困った人材ですが、捉え方を変えると、周りをよく見ていて気が付く人だったり、面倒見が良かったりするのです。
みなさんも悩み事があるなら、捉え方を変えたり、環境を変えたりすると、自分は変化していなくても状況が改善するかもしれませんね。
印象的な場面
コミュニケーションが苦手な松久とコミュニケーションおばけの眞田(さなだ)の会話が印象的でしたのでご紹介します。101ページに記載されています。
松久「でもそれって、眞田さんはイヤじゃないんですか?なんていうか、勝手に垣根を超えて入って来られるというか」
眞田「ははっ。大丈夫スよー」
一瞬だけ眞田さんの表情がストンと落ちた。
「ー垣根の越え方とか入って来たあとの様子とかで、どんな相手か判断できますから」
誰とでも仲良くなれる、明るく気さくな眞田の放つ辛辣な一言。
やはり人は眼に見える部分だけで判断できませんね。
最後に
全体として、面白い本だったと思います。
シリーズもので5巻まで出ているようですから、続きも読んでみたいなと思っています。
良かったら皆さんもどうぞ。
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