哲学といえば、難しそう、なんてイメージがあるかもしれないけど、私は定期的に興味が湧いてくる分野なんです。
というのも、人生が忙しい時、たとえば受験とか就活とか仕事に忙殺されているときなんかはそんなこと考えている場合じゃないんだけど、ずっと忙しい人なんていない。忙しさがひと段落して空いた時間が続くようになると、何をしていいかわからなくなる時、ありませんか?
学生とか社会人なりたての頃なんかは、とにかく寝たいとか、とにかく遊びたいという思いが強かったんだけど、30歳を超えて、暇なんだけど何もしなくない、でも何もしないのは嫌、なんて状況になっているのが私。
そういうときに、きっと私と同じ状態の人はこれまでの人類の歴史でたくさんいたはず。そうだ!哲学だったら何か答えがあるんじゃないのか?となって哲学関係の本を手に取る。
そしてちょっと読んですぐ飽きる。これを繰り返して何年になるかわからない。
ただ、今日紹介したい本は、そんな哲学に興味あるけどなかなか哲学関係の本は読めない私でも読みやすいなあと感じたので、その中から読んでいてハッとさせられた部分を紹介していきたい。
気になった人は、ぜひ手に取ってもらいたい。
哲学入門2.0
本はこんな感じの見た目。画像はAmazonから拝借しております。
帯にあるようにひろゆきが登場している部分が最後にある。
この本は「現代人」VS「哲学者」の構図で、1つのテーマについてそれぞれが意見をぶつけていくディベートスタイルになっている。どのテーマも3ラウンド構成になっていて、その都度どちらが優勢かも明記されている。
というわけで、本の書き方も会話形式になっているので非常に読みやすい。しかも、合間合間には実況者と解説者からのコメントも差し込まれていて、本当に戦っている感があるのも良いポイント。
いくつか例を挙げるとこんな感じ。
- 「そこそこ」で生きるのは悪いこと? さとり世代🆚ニーチェ
- 恋愛を避けて生きるのはアリ? 草食系男子🆚プラトン
- 人生は「親ガチャ」で決まる? 親ガチャ論者🆚実在主義者
- 論破するのはダメなこと? ひろゆき🆚哲学マニア
実際のビジュアル
ありがたいことにAmazonで本書の中身が一部見れるようになっていたから下記に掲載する。
一つのテーマが終わると③の画像のようにそのテーマで使われた哲学的な考え方についてまとまったページがあります。この部分を読むとより理解が深まります。
ハッとさせられたポイント
ここからは、この本読んで良かったなと感じた部分のみを紹介していく。
永遠回帰
これは「そこそこで生きるのは悪いこと?」の中で登場している。哲学者ニーチェは、人生そこそこでいいじゃないかというさとり世代に次の質問をする。
君が死んだあと、再びまったく同じ人生を繰り返したとする。そうして君は永遠に同じ人生をループするんだ。そうなった場合、君は毎回、今の「そこそこの人生」を選ぶかい?
P17より
さとり世代は「それは嫌かもですね」と答えた。私も同じ。きっとこれを読んでいるあなたも同じなのではないか?
これは、自分の人生全体を肯定できるのか、否定するのかを確認するテストのようなものらしいが、これを永遠回帰というらしい。
もちろん、そうなると仮定した時の話ではあるが、この人生が一回きりではなく永遠に繰り返されるものであるのなら、もっとよくしたいと思ってしまう。つまり、私は今の人生に満足していないことになる。
1回だったらいいか、もう変えられないし、と考えてしまいがちだが、もう一度繰り返すくらいなら今からでもやれることをやって改善したい、変えていきたいと思わされた。何かを諦めそうになった時に、何度も自分に問い直したい問だなと思った。
心は放置していると必ず暗い気分に向かう
これは「人生は幸福を追求すべき?」の中で登場する。
「現実はうまいくかないのだから幸福に固執しないほうがよい」という現実主義者に対して、アランは、
- 心は勝手に暗い方へ進んでいく
- 苦しいことばかり考えて、さらに苦しみがひどくなっていく
- 現実になっていない苦痛に悩むのではなく、想像力をコントロールしなくてはならない
と話している。
この上2つは心に刺さる。なぜなら、これはまさに私。
これやって大丈夫かな、迷惑かけてないかな、なんかあの人機嫌悪そう、なにも根拠はないけど何かやらかしている気がする、的なやつは挙げるとキリがない。きっと同じ人は多いはず。
その負のループに陥らないために必要なのが「感情のコントロール」
なんとこの人、アランは、あの有名な「楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる」を主張した人だった。まさかあれが哲学の一部だったとは。現代では化学的な根拠もあるようだが、それを1900年代から主張していたアラン凄すぎる。
他にも、本書の中でアランは
- なんの決意もなしに幸福になろうという考えを改めるべき。
- 幸福になるには努力が必要。
- 人が幸福になるのは義務。
と、結構強めの主張をしている。
ただ、考えてみれば、確かに何もせず放っておいて幸せになれる可能性は低いし、現実はうまく行かないから幸福は諦めるというのはただの逃げなのかもしれない。
幸福か不幸かで言えば、幸福のほうが良い。であるならば、それ相応の努力をしないといけないのかもしれない。
その行動をみんながやったら世の中が良くなるかを考えて行動せよ
これは「人間は道徳を重んじて生きるべきなのか」の中に登場する。
「道徳は時と場合によって変わるもの、個人によって違うものなのだから、法律さえ守っていればそれで良い」という自由人に対して、カントは「道徳は普遍なものであり、誰にでも共通するものだ」と主張している。
道徳って難しい。私は教員だったときに道徳の授業もやったことがあるが、それはそれは難しくて授業するのが嫌だった思いがある。なぜなら答えがないから。
そういう点では自由人の言うことも一理あるなと思う。
ここで「その行動をみんながやったら世の中が良くなるかを考えて行動せよ」というものが出てくる。
たとえば、ゴミのポイ捨て。これをみんながするようになると街はごみで溢れて快適で無くなる。
なるほど、確かにこれは普遍的っぽい。
やった方がいいかな、やらなくてもなんとかなるかな、と思うことは日常に多々あるが、これが一つの判断基準になれば、行動しやすくなるし、やってはいけない行動もわかりやすくなると思う。
まとめ
今回の紹介は以上。
この本のいいなと思うところは、議論のテーマが現代的であること。社会人であれば誰しも一度は考えるであろうことがテーマになっているところで、興味を持ちやすいし、読みたくなる。
しかし、これらのテーマが哲学で議論できる、解決できることであるならば、これらのテーマは過去にもあった普遍的なものだとも言える気がする。いや、哲学が普遍的なのか。
今回読んで学んだこと、ハッとしたことはこれからの私(たち)の生活の役に立つ気がしている。
何かで悩んだ時や迷った時はこれからも哲学に頼って、にわか哲学を続けていきたい。
興味を持った人はぜひ読んでほしい。おわり。
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